2010/06/25

        ゆめ


数日が過ぎた。
沼の中にいるような数日。

結果は分かっていたものの、書面での連絡が一向に来なかった。
期待をもつことはとてもこわい。
だからいつも、期待はしないようにしてきた。
なのに、夢を見れば、合格して涙を流す夢を見る。
数日間のうち、数回見た。

僕のところは郵便はだいたい3時くらいに届く。
バイクの音がしたら、窓辺に行き、郵便屋さんかと見る。
何回も見る。
手紙がポストに入れば、見計らってすぐポストを覗く。
そんなことをしているのに、
心の底では、いつまでも来なければいいのに なんて思う。
そしたら、夢が終わらなくて済む。
夢が見られる。

だけど、昨日届いた。
やっと なのか、 来てしまった なのか。
でも届いた。

今日、この動画をみた。
ハンバーとハンバートが好きなのだ。
小林さんともたいさんが踊っているのを見て、
僕は泣いた。
このどこに届けているのか分からない、
いや、全部に届けているんだろう、その姿を見て泣いた。
僕には応援しているように見えた。
地球にいるもの全部に向けて。

お疲れ様。
頑張る姿を見て刺激をうけた。
ありがとう。
輝いていたよ。

色んな言葉を色んなひとにもらい、
僕はなんて答えたらいいか分からなかった。

うん、でも落ちちゃったよ。
ごめんね。

そう思ったけど、それも言わなかった。

この映像を見て思った。
きっと励ましたり、応援したりしたいんだ、自分も。

そして、
ありがとう、お疲れ様、ではなく、
もっと頑張れ。
そう言ってもらいたかったのだ。
背中を押してもらいたかったのだと、今日初めて思った。

力不足、怠け者、わがまま、凝り性、偏見、塊、ちっぽけ。
悔しければもっと先に行かなければ。

フレー フレー 

フレー フレー

心の中でそう言いながら、もっといいもの作ります。

「ハンバートハンバート/罪の味」




2010/06/19

六月十七日の箱


最終選考に持っていった箱を、
ここに残して、もう片付けることにする。
走り抜いた4ヶ月。
とてもいい経験になった。
誰に向かって、ではないんだけど、
本当にありがとう。
こんなにたくさんのことを考え、制作し、そして落ち込んだり、
うれしがったり、勇気を持ったり。
こんな大変な選考、もう一回したいとは全く思わないけど、
全部楽しかった。

今回の選考中、書道をやっているのになぜ?ということを繰り返し聞かれた。
自分にとっての書道。
それは何かをつくるための、一つの選択肢、方法なのだ。
映像を作ろうと思えば、筆ではなく、パソコンを使う。
絵を描こうと思えば、絵の具を取り出す。
ただ、こうして書道を長い間こだわってきたのも事実で、
それはたぶん、言葉を扱うという点にある。
書道をしている、のではなく、言葉を書いている。
言葉を操って、まるでバケツをひっくり返すように、言葉、文字を紙の上にバラまくのだ。
頭の中が箱のようだと思うのは、一つ一つ、箱を開けるように、頭の中で方法を選んでいる。
文字を書く箱、色の箱、動かす箱。
一つひとつ違うけれど、カマムラカズキという箱の中にきちんと収まっている。
今回、箱をテーマに選んだ理由はここにある。
では、紹介する。


「六月十七日の箱/鎌村和貴」



0. 「墨の数字」
これは作品としてではなく、プレゼンテーションの道具の一つとして持って行った。
作品の前に数字を置く、ただそれだけ。無理矢理だが、書道とつなげ、炭、墨とした。ただの数字だが、とても苦労した。


「レジメ、六月十七日の箱」
今回上の数字やこのレジメなど、小道具全ても箱の中に入れて行った。



1. 「山の箱」
これは名刺。山田、という名前だったので、たくさんの山を重ねた。



2. 「動く箱」
これは映像の箱。中には「and he does.」と、くるりのばらの花に合わせた映像を入れている。
ポタンを押せば始まる設定にしてある。



3. 「きっかけの箱」
これは僕の友人、中山のブランド、tokoのカタログを入れた。
自分の作品ではないものを、組み替え、組み合わせ、新しい形として見せる楽しさを知った。
作家のことを考え、どんな方向に進むべきなのかを考えた。
初めて広告だとか、デザインだとか、そういう仕事を意識した最初のきっかけ。
自分にとっても、大切なものになった。



4. 「日々の箱 梅雨」
日々、暮らし。生活の中で、あんまり意味はないけど自分はとてもいいと思うものがある。
例えば、刺繍で作っているあじさいのボタン。
例えば、贈り物や、メモをつける時にこんな紙に言葉を書いたらきっと美しいだろう、
そう思って作った日が昇る紙。丸は太陽の形を表している。



5 「描く箱」
大きな絵を以前描いた。今回手直しを加え、自分の頭の中の一部として持って行った。
大きさは50号、120センチくらいだろうか。



6 「原点の箱」
自分の原点はどこかと考えれば、間違いなく書に辿り着く。
今回は臨書一点、雨という漢字を書き連ねたものを一点、箱に入れて持って行った。



2010/06/18

最終選考


日本デザインセンター、最終選考。
残っていたのは3人だった。
自分が今こうしてこの場にいられることがとても信じられなかった。

役員面接は10名くらいの役員がいて、それはそれはな雰囲気だった。
たくさん聞かれた。
書道のこと、デザインのこと、仕事のこと。
僕は大学に人より長くいて、書道から今デザインへ転向しようとしている
ところもこれからこの仕事が続くのかという点で不安には感じていると言ってた。

今自分はすでに挑戦していて、ここに立っていること自体が挑戦の途中。
美大に行っていた人と比べられ、知識が劣ることはしっている。
だけど、もう挑戦はとっくに始まっている。
心はもう決まっていいる、と伝えた。

受かるのはたった一人。

ここで君が通過となれば、4、500人もの人を蹴落とすことになる。
そして今すでに君は何百人も蹴落としてきている。
そしてその人達の人生をも狂わすことになるが、君は心は決まっているのか?
と聞かれた。
もちろんです。そうやって残ってきて、僕は今戦いの中に立っています。
と。

今結果が来ていない。
明日速達かなにかで不採用の通知が届くだろう。
内定は電話なのだ。

この四ヶ月、ものすごく長かった。
だけど、本当に素晴らしかった。不安はとても大きかったけど、たくさん学んだ。
そして挑戦する気持ちも持ち続けれた。
でも今心は全く快晴なんかじゃない。
いくら素晴らしい経験でも、でも、やっぱり悔しい。
ものすごく悔しい。
涙を見せるのは違うかもしれないけど、でも涙が出る。
最後、こんな経験をさせてくれたことに対して感謝を伝えようと思った。
だけど、できなかった。心残りだ。

でもこうやっていくら辛くても、いくら泣いても、
また前に進んでいかなくちゃいけない。
とても苦しいことは知っている。
だけど、また一歩を踏み出さなきゃいけない。

外は雨が降っている。
久しぶりに、きれいな音だと思った。

今はどこへ向かえばいいか分からない。
でも、一つのことが終わったことだけは、分かる。

今回本当に多くの人に助けてもらった。
自分一人では絶対に最後迄進むことはできなかった。
たくさんの応援も、強い気持ちももらった。
地元の友達は、3次、最終と、出勤前に近くの神社へお参りに行ってくれていた。

作品は一緒に戦ってくれる仲間だ、
そう言ってくれた人がいる。
そうだ、僕はここに自分の大好きな作品を連れてきた。
よし、いこう。
そう思えた。

皆、本当にありがとう。
少し休んで、またどこかへ向かえればいいと思います。
きちんと終わらすために、最後で戦った作品をまた載せたいと思っています。
明日か、明後日にでも。

2010/06/12

0611


日本デザインセンター、三次選考。
箱を7個持って行った。
真っ白い風呂敷に入れて。

6人の面接官。
一次選考からずっと同じ人達が見てくれている。
今回は穏やかにすすんだ。
自分は確実に落ちたと思った前回。
でもこうして通過をして、面接の部屋に入ったとき、
おー来たか来たか。と言われているような、そんな雰囲気だった。

皆、待っているよ。
作品、楽しみにしているよ。
始まる直前、ド緊張の中、控え室から出る時にそう励ましてくれた。

うまくできなかったことはたくさんあった。
終わってまた物凄く反省をした。
でも、また一つ勉強をした。
今つくることは自分にとっては勉強のようだと思う。
作ってみて、そして終わって、その時自分に残ったものに気づく。

今朝、最終選考への電話がきた。
もう自分のこととは思えない。
だけど、来た。
ここまできた。
来週木曜日、日本デザインセンター最終選考。
頑張ることは清々しい。
来週は一度空を見上げて、最後の選考に挑戦しようと思う。

2010/06/08

0607


夜、母親から電話がかかる。
制作の調子はどうなのかと聞かれる。

その後ろでは父の怒鳴る声がする。
きっと嫌になったのだろう。
嫌になったから、きっと電話しようと思ったのだ。
相変わらず父の声は聞こえて、
ばあちゃんはどうしてるのか尋ねると、
怒り散らしている、と。

父と祖母に挟まれ、毎日を暮らす。
電話は2分30秒。
母の夜は少しでもましになっただろうか。
応援しているよ、と言ってくれる。
帰ってこい、なんて今まで一度も言ったことがない。
姉兄に、メールをしようかと思った。
今家が大変みたいだから連絡して と。

でもそんなことして、二人が電話したら
きっと僕が心配をしていることが分かってしまう。
そしたら、今度は心配をかけまいと、母は電話しなくなるだろう。

作りかけのメールを消して、少し目を閉じてみた。
家は心配することないよ。
心配せずに頑張りなさい、何度も言った声が忘れられない。


今夜もデザインセンターの課題を制作している。
今度は自由。
一番難しい自由。
今回僕は 「くれないの箱」 というテーマに、いくつも箱をを持って行こうと思う。
昔、水引きのことを「くれない」と呼んだそうだ。

今、水引きを作っている。

2010/06/05

0604


奈良が落ちた。
受かると思っていた奈良が落ちた。
次は最終だった。
今日は一日、ぐるぐると色んなことを考えた。
何が駄目だったのか、
うまく伝わらなかったのか。
そしたら、自信とかやる気とかまでどこかに飛んでいきそうになった。

そんなことになったら、今日飲み終わった飲むヨーグルトの紙パックと変わらない。
ので、やめた。

いつの間にか夜になって、
僕は駅前でグミを食べながら歩いていた。
Mくんと合流し、今日は終わった。

明日は固いグミのような一日になればいいと思う。

2010/06/03

信じられない


信じられない。
デザインセンターの二次が受かった。
ついさっき速達が来た。
銀座本社での面接、あの後ぼくはしばらく動けなかった。
動く気力もなく、ただ呆然と立ち尽くした。

あれから、一日中寝て、頭の中から排除したつもりでいた。
そしたら、来た。

次は来週。
課題は、自由。
500人の中から30人になった時、なんてこった、やっちまったぜと思った。
それから今は数人になっった。そこに自分がいる。

もう恐れてられない。
挑戦、挑戦。

机の横に貼っているばあちゃんの手紙に書いてある。
何でも心をね 心って本当に大切です

うん、忘れない。
いつもこれを見てる。