2012/12/06

ほんの一分程、泥


音楽や、話し声や、自分の中の私の声までも。
時には全て止めて、私は私になりきりたいと思う。

私は私だと思い込んでいるだけで、案外何者でもないし、
明日私は今日の私ではないかもしれない。

最終電車に乗り、本を読んだ。
私は本があまり好きではない。
日々から少し差し引くことを学んだ。
確かに、少し足りないくらいがちょうどいい。



私は今日泥について考えた。
ほんの一分程、泥、泥、どろ、どろ、どろ
と、頭の中で響かせてみた。

そうしたら、大切にしたいつもりのようなものが出てきた。



せめて、私の手や文字は泥くさくありたい。
あなたの手はきれいでいい。
私は泥が好きだ。

日々の生活から少しだけ差し引くことを考えながら、
また私はパスタを茹で過ぎるのだ。

(『手の中の泥、私の星』6頁)


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