藤の花が咲いたんです。
そこの窓から見える、すぐそこの木は。
それは小さな森でした。
でも、木も大きくて、確かに手入れはされてなかったけど、
でもなんとなくいいなと思っていました。
藤の花は、なんだかモクモクと咲いて、
モヤのようだなあと思いながら見上げていました。
毎年きちんと咲いて、
その時期はなんだかいい匂いがするし、とても好きだった。
大きな台風が来た時でした。
その夜は物凄い風で、この家は薄っぺらいからどこかへ飛ばされるんじゃないかと心配したものです。
朝起きてカーテンを開けると、木が何本も折れていました。
その森のすぐ手前に駐車場があるもんだから、
折れた木で車はぺしゃんこになっていたりして。
大変なことが起こったなーとなんとなく思っていました。
その日から、
少しずつ木は切られて、
入り口にあった大きな藤の木も切られてしまいました。
とても大きかったのに。
たぶん、とても大きかったから。
それでも、窓から見えるその藤の木は無事でした。
柿の木も無事でした。
今朝はなんだか工事の音がうるさいなと思いました。
遅く起きたもんだから、カーテンを開けた時には、
目の前にあったたくさんの木は既に無くなっていたんです。
でも、その藤の木は無事でした。
今日はバイトだったから出掛けました。
帰ってくると、その藤の木も無くなっていました。
あーもうあの朝もやのような花は見れないんだなーと思いました。
窓を開けても、見えるのは駐車場をはさんだ向こうの民家。
あー森がなくなったんだ。
あの森は記憶になって、
あの藤の木は僕の伝説になった。
そうか、もう見れないんだ。
そう思った一日でした。
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