夕方からくもり、夜には雨になった。
散る桜は美しい。
落ちて雨に濡れた花びらも美しい。
まるで、雪が降ったように見えた。
この景色をどうにか自分の手の中に入れたいと思う度に、
人間は欲深いものだと思う。
日本には桜がたくさんある。
桜を見たとたんに日本人の風情のようなものに繋げること。
まるで点と点を結ぶみたいにいとも簡単に言ってしまうこと。
そこで安心していること。
日本の風情のようなものは、実はもうほとんど失いつつあるのではと思う。
行事はもうほとんどしない。
何かを愛でることは忘れてしまった。
美しいものをみる為に遠くへ行く。
風情とか質とかいうのは、ごく近い身の回りにあるものではなかったのだろうか。
イベントのように感じるものではなく、
とても限られた個人の出来事でも良かったのではないだろうか。
僕は今、二十代後半。
この世代は大丈夫だろうか。
下の世代はどうだろう。
時代は変わる、それはいい。
だけど、日本の質をつくってくれた人たちは、いなくなる一方だ。
僕たちはそれを受け継げているのだろうか。
良いものを見る目はまだ持っているだろうか。
そんなことチクチク思う。
これはたぶん、桜の写真に添えられていた、
これは日本人にしか分からない風情だ、という言葉に腹がたっていたのだろう。
馬鹿言え。
そんなことあるものか。
そんな世界、絶対にいやだ。

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