黄色や白い日だったと思う。
僕はベンチで弁当とパンを持っていた。
透明なプラスチックのパックに入っていて、
御祝いだとか、そういう言葉を書いていた。
二種類か三種類か、
小さいパンが入っていた。
入学式で貰ったお祝いのパン。なんでパンだろうと思いながら、
ベンチに座って、黄色や白の日差しのなかで、
少し暖まり始めた僕は半透明になりつつあった。
これから大丈夫かなあとそんなことを思った。
勢いで来てしまったことを少し後悔もして、
どんな気持ちか忘れたけど、
分からない気持を強く奥歯で噛んでいた。
入学式で貰ったよく分からない冊子を開いたと思う。
授業の名前が載っていて、それがまたよく分からなくて、
遠いところへ来てしまったなあとぼんやり思った。
そこは公園で、
親子が遊んでいてキャッキャと聞こえた。
パンは少しかじって、またパックに戻した。
少し疲れていた。
前の学校のことを思って、さっきの入学式のことを思った。
レモンティーを飲んだ。リプトンだ。
少し足を伸ばして、ベンチに浅く座り、身を大きく傾けた。
桜が満開だった。
風が吹くと雪のように散った。
膝の上にひらきっぱなしの冊子にも落ちてきた。
そのまま冊子を閉じて、きっとこの桜は押し花になるんだと思った。
大きな地震が起きたすぐ後の、小さな入学式だった。
社会がぐらぐら揺れていた。
きっと何もかも受け止め切れなかったからだ。
さて、と立ち上がり、
近くのゴミ箱にごめんと言ってパンを捨てた。
祝の字が見えた。
黄色や白い一日だった。
始まりの一日だった。
桜が満開だった。

0 件のコメント:
コメントを投稿