もけもけクマが目の前にいる。
焦点が合っているのか、合っていないのか、
どちらともの中間のような目。
今日は厚手のコートを着た。
ここ何日かあまり寒くないなーと思う。
なのでそのコートは暑かった。
卒業制作展のことを考えた。
本当は順調に進んでいなければいけないのに、
もやもやして手につかない。
でも毎週発表はあるから、明日までにまた何かを持っていかなくては。
僕は大学に7年いた。
卒展は集大成にしたいと思っている。
嫌々だったけど、それでも毎日は過ぎていったし、
その中でも成長させてもらったことはある。
ふと思った。
これで終わりにしたいのか。
それとも、これを始まりにしたいのか。
書道とは20年以上の付き合いになった。
両親は書道とは全く関係のない職業で、一家に芸術家も一人もいない。
小さいころからなんでなんだろう、とふと疑問に思うことはあったけど、
全然分からなかった。それに、書くことが楽しくて仕方がなかったから、どうでも良かった。
今思えば、楽しくて仕方なかっただけなのに、
それを真っ直ぐにさせてもらえる環境を両親はつくってくれていたんだと思う。
だからこそ、僕は楽しいまま書道を続けられた。
進学をする時も、文句は一言も言わなかった。
嬉しそうに作品を眺める両親の表情を覚えている。
とても凄いと思う。
書道で食べていけるの、なんて一回も言ったことはない。
自分の子供の才能を自分の子以上に信じていたようにも思う。
僕は何か一つでも恩返しができただろうか。
この夏、デザインセンターがダメになったとき、
申し訳ない気持ちが一番大きかった。両親に申し訳なかった。
もしかしたら、これで一つ目の恩返しができるかもしれない、と思っていた。
7年も大学に行かせてもらって、初めて、自慢させてあげられると思った。本当に初めて。
いつかテレビで自分が作ったCMが流れる時がくるかもしれない。
街中でポスターを見ることがあるかもしれない。
そしたら、きっと何も言わないだろうけど、嬉しそうな顔で眺めてくれるだろう。
申し訳ないと、本当に思った。
卒展には徳島から来ると言っていた。
どうにかして、作品で感謝を込めたいと思っている。
書道学科とか、教授の批評とかもうどうだっていい。
自分のために用意してくれた7年を、僕はどうしても全力で証明しなければいけない。
どうやったらそれができるだろう。
どうやったら伝わるだろうか。
今回は月をテーマにしようと思っているけど、
それが一番の選択なんだろうか。
今日は自問自答の繰り返し。
さっき、題名は「照らす」はどうだろうと考えていた。
月を目印に、これからどこまで歩いていけるだろうか。
どこまで身を削って生々しいものができるだろうか。
まだ核心に迫れない。
まだどこかに嘘が混じっている。